機関紙『松濤館』への記事掲載について(第202号)

 松濤館が定期的に発行する機関紙にて、現部員の記事が掲載されていますので、この場を借りて紹介させていただきます。

 機関紙『松濤館』については会員専用ページに転載しておりますので、そちらを閲覧ください。 

初段者講習会

文学部3年 押切 柾人

 空手部に入って約2年。日頃の稽古が身を結び、僕はついに初段を頂くことが出来た。浮かれた気分も束の間、これからの部活動を思うと不安を感じるようになっていた。一つの大きな目標を達成した今、この先は何を目標に稽古するべきなのだろうか。後輩たちには何を指導するのが正解なのだろうか。今回の初段者講習会にはそのような不安の答えを探るべく参加させていただいた。

 最初は柳田指導副部長による松濤會の成り立ち、歴史についての講義があった。僕は空手部に入る前に別の流派で空手を習っていた。そこの流派の型と空手部で習う型には共通点が多いと感じていたため、前々から二つの流派の関係を知りたいと思っていた。今回の講義で、今まで漠然と稽古していた双方の歴史、枝分かれした経緯、目指すものの違いなどを理解することが出来て正に目から鱗だった。

 座学が終わると、今度は三人の指導者による稽古である。加藤指導副部長による指導では主に呼吸や脱力などの観点からの意識付けや身体操作を、山本指導部長からはそれを実践に活かすための基本稽古、眞田指導副部長からは見栄えではなくいかに「相手を倒せるか」に焦点を置いた型を指導して頂いた。共通して言える事は全員「武」としての空手を指導してくださった点である。スポーツやエクササイズとは一線を画した空手道の片鱗を、短時間ながら教えて頂いた。

 今回の初段者講習会で共通して教えて頂いたことは、「武道」としての空手道である。先人たちがどういう意図で空手を作り上げ、それを現代まで途絶えずに先へ進めてきたのか。ただ体力や力に任せて体を動かすのとは違う空手とは何か。有段者となったこれからは、そういった「武道」としての面の空手道を理解していく事が自分にとって重要である。そしてそれを指導者の方々のように僕も後輩に伝えられるようになる、という事がこれからの課題である。

出典:日本空手道松濤會 機関紙『松濤館』第202号 (令和5年1月31日)