空手部OBOGインタビュー(第10回)

空手部を卒業されたOB・OGの先輩にインタビューする本企画。第10回目は平成27年卒業生の内田翔太先輩にお話を伺いました。

聞き手:法学部4年 和田竜輝(大阪星光学院高等学校)

Q1:まずは自己紹介をお願いします 。

平成27年卒の内田翔太です。コーチお二人の一学年後輩にあたります。4年生幹部時代は主将を務めていて、卒業時の同期は9人。商学部商業・貿易学科出身で現在はNHK(日本放送協会)に勤務しています。どうぞよろしくお願いします。

Q2:空手部時代の一番印象に残っている出来事を教えてください。

毎年の夏合宿ですね。開脚前進や諸蹴りがとめどなく続いて、ただただ苦しかったですね。「何のための稽古なのか」と考えたらそこでおしまい、ひたすら喰らいつく、って感じでした。そのかわり、最終日の稽古終わりの達成感はすごかったですよ。もう、この世の全てから解放された感覚というか。
現役のとき、冷静さを失っていた時期は、空手部の稽古はなんて理不尽で、不可解で、非合理なのかと思っていました。今振り返っても、少し思います。ですが、世の中なんてそんなもの、まして会社や組織に属せばよくあることです。だからある意味、社会に出る前に良い意味での“理不尽さ”を経験できてよかったのだと思っていますね。

Q3:就職先にNHKを志望された理由を教えてください。

NHKで働くことに決めた理由はとある先輩との出会いでした。
当時の就活解禁は3年生の10月でしたが、私には特にやりたいことも無く、就活よりも部活を優先する日々。当時はマスコミには全く興味がなく、素材メーカーの営業職を目指して就活していました。私の転機となったのは、OB訪問でお会いしたNHKで働くY先輩との出会いでした。大手の素材メーカーの内定ももらっていたのですが、Y先輩からNHKについて話を聞くに連れて、 ここで働きたいと思うようになり…気づけばそれまでに出ていたすべての内定を辞退していました。そこから必死で勉強して、4年生9月にギリギリで内定をもらいました。Y先輩をはじめ、内定が出るまでの間に支援をいただいた先輩方にはとても感謝しています。
進路が定まらず悩む人も多いと思います。就活に関するアクションで、やろうか迷っているなら、とりあえずやってみるのがいいでしょう。ダメでもまだやり直せるのが学生です。小さなきっかけや出会いが、その後の人生を大きく変えること(バタフライエフェクト)になるかもしれませんよ。

Q4:部活で得たスキルや考え方で現在のお仕事に役立っているものはございますか。

タフさでしょうか。
社会人になって数年は仕事が忙しくて追い込まれることもありましたが、開脚前進や諸蹴りが延々と続く、べらぼうにえげつない状況に比べたらまだマシ、と思う事はよくありました。同期と助けあって困難を乗り越えてきたことも含め、空手部での苦しい経験がよい意味での“基準”となって、多少のことではへこたれないタフさが作られていったのだと思います。

私のように社会人も10年目になると、会社の中で自分がプレーヤーだけでなくマネージャーとしての機能を求められますが、この状況は日々の部活でも経験をしていると思います。空手部という小さな組織で上下関係に気を配りながら、稽古に勤しむ。4年生になれば後輩に教える、面倒をみることもあるでしょう。やっている事は皆さんも社会人の私もそんなに変わりません。その経験を社会に出る前にしている皆さんは、同期の中で一歩先を行っていると思ってください

Q5:NHKでの個人的ニュースを教えてください。

私が働くNHKは今や珍しく全国転勤のある組織で、これまで北海道、四国、東京と勤務しました。ニュースというほどではないですが、生放送に出演したり、しばしば芸能人を見かけたりと、他の企業ではまずないような経験が割と日常的にあったりします。

Q6:学生中にしておいてよかったことは何ですか。また、逆にしておきたかったことは何ですか。

まず、背徳メシですね(笑)

夜間稽古終わりのラーメン二郎やすた丼は罪深い美味さがありました。超ハイカロリーメシを夜10時とかにためらいなく食べれるのも、部活動終わりのテンションハイという状況があったから。今じゃ考えられない…(笑)

学生の時にしておいて良かったのは海外旅行です。のべ7-8カ国は行きました。空手部でも台湾やポルトガルに遠征し、現地の人々と交流しましたね。海外旅行はそれなりのお金と時間がある時しか行けないので、学生時代に多くの国を訪れることができて良かったと思っています。
もっとしておきたかったのは、勉強ですかね。私は部活にほとんど全てを注ぎ込みましたが、大学は教養の拠り所ですから、他の人には負けない知識を1つでも養っておくと、社会に出てからかなり強力な武器になりますね。仕事で活かせる検定試験や資格を持っていると、やっぱり職場で重宝されますね。どんなに体力があっても、頭がよい人にはかなわないということは社会に出て痛感しています。一方で、学歴は関係ありません。現に、私より高学歴の人はたくさんいますが、みんな仕事ができるかといったらそんなことはありませんね。

Q7:最後に現役部員に向けてメッセージをお願いいたします。

辛いこと、苦しいことを一緒に経験し、乗り越えた仲間との友情は一生ものです。部活は学生主体のサークルと違い、楽しいこと上手くいくことばかりじゃないところもまたいいところで、社会人で経験することを4年間で少し先取りするような、空手部ってそんなふうだ思います。
私は部活に多くの時間を割いていましたが、学生のいましかできないことは他にもたくさんありますので、常に心に余裕を持っていろいろとチャレンジしてみてください。ボーッと生きてたら、監督に叱られますよ。笑