機関紙『松濤館』への記事掲載について(第210号)

松濤館が定期的に発行する機関紙において現役部員の記事が掲載されておりますので、この場をお借りして紹介させていただきます。

機関紙『松濤館』についてはOB会専用ページに転載しておりますのでそちらをご覧ください。

はじめての支部訪問

中央大学経済学部2年 大竹凛太郎

3月23日(日)、私は一人の同期と共に、前日に訪れた広島から大阪へと向かいました。広島支部では、加藤前監督による指導が行われ、広島支部の皆さんとの稽古を通して、たくさんの貴重な学びを得ることができました。さて、今回は大阪支部での稽古を迎えるにあたり、どんな新たな学びが待っているのか、期待と少しの緊張を感じていました。そして、今回の大阪支部の稽古には、イギリスで稽古をされていたる海外支部の方々や、東京の本部道場で稽古をされている方々も参加するということで、松濤會という組織の広がりと、その規模の大きさに驚くと同時に、空手を通じて世界中の人々がつながり合うことの素晴らしさに深い感銘を受けました。

稽古は12時から始まりました。前半は少年部がメインで行い、その後に一般部の稽古が行われるという流れでした。少年部が一生懸命、そしてダイナミックに小さな体を使い、空手を純粋に楽しみながら取り組む姿には、心を打たれました。私たち大学生も、その姿勢に触れ、「自分も負けてはいけない」と感じさせられました。少年部のエネルギーに触れることで、空手への熱意を再燃させられました。

続いて、一般部の稽古が始まりました。大阪支部長である石田先生が指導してくださいましたが、その稽古内容は私が今まで受けた稽古とは異なる点が多々ありました。例えば、普段私たちが騎馬立ちで行う稽古と言えば、突きの練習が中心ですが、石田支部長の稽古では、騎馬立ちのままで下段払いや腕受けを行うという内容でした。普段の稽古ではなかなか経験することがないため、非常に新鮮でした。それに加え、騎馬立ちの状態で受け技を行うということが、姿勢的に非常に厳しく、難しい挑戦でもありました。

石田支部長の稽古には独自の解釈があり、普段自分が行っている稽古の枠を超えた新しい視点を学ぶことができました。例えば、下段払いについては、平安三段の最後にある猿臂をしながら後ろに突く動きを応用し、後ろに突きを入れてから下段払いを行うという指導がありました。これにより、単なる下段払いの動作を終わらせるのではなく、他の技と組み合わせることで動作の幅が広がることを実感しました。また、腕受けや手刀受けについては、肘を正中線から出さずに脇を締めるという指摘があり、受け技の精度を高めるためには体全体の使い方に意識を向けることの重要性を感じました。

石田支部長は、「稽古とは鍛錬であり、きつくなければ意味がない」という言葉を強調されました。石田支部長の鍛錬とは、稽古のなかであえて動作を加え自分のできることを増やしていくことでした。このように、技の一つ一つを意識的に行い、様々な角度からアプローチすることの重要性を改めて認識し、私はその考え方に深く感銘を受けました。

稽古後の懇親会では、大阪支部の方々だけでなく、海外支部の方々や本部道場で稽古をされている方々とも多くの交流を深めることができました。懇親会では、空手への多様な視点に触れることで、自分の空手に対する理解がさらに広がりました。特に印象的だったのは、本部道場で稽古されている岩本さんから聞いた組手に関するお話です。岩本さんは「組手の勝敗は向き合った瞬間に決まっている」とおっしゃいました。相手の正中線をしっかり合わせることが何より重要で、もし自分が相手の正中線を取ることができなければ、その時点で勝敗は決しているという考え方に心を動かされました。この意識を持つことで、組手の楽しさを実感するようになったという岩本さんの話を聞き、私は自分が組手を苦手としていたことを思い返し、これからの稽古にその意識を持って臨んでみようと決意しました。

今回の大阪支部訪問で感じたことは、空手という共通の武道を通じて、国や地域、年齢の違う人々がつながり合い、互いに学び合うことができる素晴らしさでした。それぞれの空手に対する考え方やアプローチが異なり、その多様性に触れることで、自分自身の空手の幅がさらに広がったことを実感しました。普段の稽古では得られないような貴重な学びと気づきを得ることができたこの経験を、これからの稽古に活かしていきたいと思います。今回の体験を通して、さらに精進し、空手における自分の成長を目指していきたいです。

出典:日本空手道松濤會 機関紙『松濤館』第210号