機関紙『松濤館』への記事掲載について(第209号)

 松濤館が定期的に発行する機関紙にて、現部員の記事が掲載されていますので、この場を借りて紹介させていただきます。

 機関紙『松濤館』については会員専用ページに転載しておりますので、そちらを閲覧ください。

市川支部訪問 レポート

中央大学2年 福島光将

 2月23日、私は初めて支部訪問に同行しました。私は普段中央大学で指導陣やOBの方々に稽古をつけていただいており、機会があれば本部道場で一般部の稽古に参加させていただくことはあっても、滅多に中大関係者以外に教えを乞うことがなかったので新たな視点で空手に向き合うことができる支部訪問にはいつか参加してみたいと思っていました。

 市川支部は、子供が多い支部であり、稽古は雑巾がけに始まり、準備稽古、,帯別の稽古(基本,・型の稽古)、そして最後に全体での稽古で〆るといった内容のものでした。

 準備稽古は、普段大学で行っている屈伸等の準備運動に類する種目に加えて、基礎的身体能力向上のためのトレーニング種目も混ぜてあり、これによって体幹が鍛えられ、安定感のある技や型が生まれるのだと感じました。

 帯別の稽古では、中大学生一行(私含めて4名で参加)は大人の部の稽古に参加させていただきました。大学の稽古と大きく違う点として特筆すべきは、稽古メニュー毎に「間」を取っていることでした。市川支部には少年部を中心に幅広い年齢層の方が所属されていることもあって休憩を多くとっているとのことでしたが、個人的にはその時間を使って教わったことを頭の中で整理できたほか、復習することに役立てることができたため、より一つ一つの稽古に集中でき、稽古内容・強度とのバランスをうまくとることは重要だと思いました。

 最後の全体稽古では、それまでは別れて稽古をしていたため、少年部の稽古を見る余裕がありませんでしたが、この全体稽古では後ろから全体を見渡すことができました。私たち大学生も負けてはいられないと思わされるほど、少年部は気迫に満ちた動きでした。

 今回の稽古で私が印象に残ったことの一つは、「力の使い方」です。私は普段から自分でトレーニングをしていることもあり、無意識でなにかと力に頼ってしまっている傾向にあります。そのため、私は筋肉に頼るだけでなく、より体をうまく使っていかに効果的に突きを出せかを普段の稽古から研究しているのですが、今回の市川支部の稽古でも多くのヒントがあるように感じました。突き手を抑えられた状態で、3種類の体の動かし方を試しました。一つ目は頭を倒してから突く動き方、二つ目は後ろ足で蹴ることで突き始める動き方、最後に腰から突く動き方です。腰から体重を移動させなければ、突きが出せないことにあらためて気づかされました。自分がいかに腕力に頼っていたのかを自覚し、体重の移動方法についてコツを掴めたように思います。

 もう一つは、前屈,後屈,騎馬立ちすべての立ち方に共通する股関節の曲げ方です。昨年12月大学に行われた後期審査会で、私の一番の課題はいかに立ち方を低くして、腰の入った技をするかでありました。市川支部では、普段からかなり立ち方を意識しているようであり、私も特に騎馬立ちの立ち方を意識して稽古に臨んでいました。そんな中で二人組での横蹴りの稽古メニューでは、片方がミットを構えるのですが、蹴込の瞬間だけでなく膝を抱え込んだ時にもミットを活用した普段行っていない稽古方法でもあり、深く感銘を受けました。

 今回の市川支部での稽古を通じて多くの良い刺激を受けることができました。これからの大学での稽古で、より良い動きができるようにこの経験を活かしていきたいと思います。


  出典:日本空手道松濤會 機関紙『松濤館』第209号